業務効率化の波に乗って、近年アウトソーシング(外注)が一般的になってきました。しかし、何を内製し何を外注したほうが良いのかは、きちんと考えて判断する必要があります。特にデザインは、会社ロゴや商品パッケージ、Webサイトなど、どんな部分でも会社の顔となる重要なもの。

今回はそんなデザインの内製と外注、つまり「インハウスデザイナーを雇用することとアウトソーシングすることのメリットとデメリット」をお伝えします。

制作にあたってのメリット

インハウスデザイナーの場合

  • コミュニケーションが取りやすい
    Webサイトの制作では、ターゲットやコンセプト、サイトマップなど決めなければならないことが多くあります。デザイナーに一任するか、他に担当者を付けるかによっても変わってきますが、数多くの事柄を確認しながら進めていく中ではいずれにしても同じオフィスで働くインハウスデザイナーとの方がコミュニケーションはスムーズでしょう。
  • トーン&マナーを理解している
    デザインの一貫性のことを、トーン&マナー(トンマナと言います。社内にデザイナーがいる場合、会社のイメージカラーや、これまでどのような制作物をつくってきたか、社風はどうかなどを理解しています。そのため、Webサイトを制作するにあたって、具体的な指示がなくてもトンマナを合わせることができます

アウトソーシングの場合

  • 進行管理を担ってくれる
    アウトソーシングする場合は、制作会社が進行管理を行ってくれます。もちろん進行の遅れなどが発生しないわけではありませんが、自社のWeb担当者が細かくスケジュールをチェックしなくて済む点は大きなメリットです。
  • クオリティが一定
    制作会社に発注した場合、制作は何名かのチームで行われ、それぞれがデザイン性や使いやすさをチェックしているので、クオリティはある程度担保されます。また、Webサイトも流行や最新技術は常に更新されていますから、日々いくつものWebサイトに触れている専門家に任せられる安心感があります。制作会社の実績を見て、どの程度のものを作れるのか確認してから発注すると安心です。

コストを比較

インハウスとアウトソーシング、どちらの方が低コストか?ということについて、正確な答えはありません。いずれの場合でも、安く済ませようということばかり考えてしまうと、当然制作物の品質が下がってしまいます。ここではコストの面から、双方のメリットとデメリットを説明します。

インハウスデザイナーにかかるコスト

  • 人件費
  • 設備費
  • マネジメントコスト

インハウスデザイナーの場合、毎月の費用は固定です。そのため急な修正や更新の頻度、サイト全体を一新するとなっても費用は変わらず、予算の工面で苦労するということはないでしょう。特定の商品のLP(ランディングページ)を制作したいなどの場合も、想定外のコストがかかりません
しかし、専用のソフトやPC設備、マネジメントコストは必ず発生します。「商品一つひとつに対してLPを作りたい」「継続的にWebサービスの開発運営を行いたい」など、長期的な目で見てWeb方面を活用していきたい方針があれば、雇用を検討してみるのが良いかもしれません。

アウトソーシングする場合のコスト

  • 制作費
  • 定期的な修正や更新費(ランニングコスト)
  • リニューアル時の費用

アウトソーシングする場合、当然ですがかかる費用は都度変化します。定期的な更新や決まった運用を、毎月一定額で委託する方法もありますが、回数やボリュームは決められていることがほとんど。急な更新やトラブル対応を考えると、必ずしも内製化するよりも安くなるとは言い切れません。
またWebサイトのデザインにも流行があるため、企業の顔としてWebサイトを活用するのであれば、定期的なリニューアルが必要です。リニューアルは多くの場合Webサイトを1から作り直すことになるので、その分大きく費用がかかります。「◯◯円以内でつくって」という発注をしてしまうと、制作側のモチベーションも低くなり、クオリティが下がってしまうこともあるので注意しましょう。

メリットとデメリットのまとめ

これまでのメリット、デメリットを表にまとめて比較します。

メリット デメリット
インハウスデザイナー
  • 確認作業がスムーズで、制作期間が短い
  • トーン&マナーを理解している
  • コストが一定
  • 急な案件にも対応できる
  • 設備費やマネジメントコストがかかる
  • クオリティが個人に依拠する
アウトソーシング
  • 進行管理を担ってくれ、確認回数が少ない
  • クオリティがある程度担保される
  • コストが必要なぶんだけに抑えられる
  • 急な案件の対応に時間がかかる
  • トラブルの際に想定外のコストがかかる可能性がある

インハウスデザイナーを雇用するか、外部に発注するか、会社の状況や求めているものによって変わってくることと思います。上記のメリット、デメリットを踏まえて判断しましょう。

インハウスデザイナーと外部の制作会社との協業

インハウスデザイナーを雇用したからといって、外部に依頼する仕事がないかというと、そうではありません。リソースが足りない際に手を借りることももちろんあります。外部協業することで最も大切なのは、“流行や新しい技術に触れること”
インハウスデザイナーは、基本的に自社というひとつの企業にしか携わっていません。そのため専門の制作会社と比較すると、業界の最新情報に疎くなりがちです。外部のパートナーと協業することで新しい知見を得て、それを自社に活かすということは大きなメリットになります。

まとめ

インハウスデザイナーと、アウトソーシング(外注)のメリットやデメリットについて解説してきました。どちらも状況によって選ぶべき手段が異なるため、まずは会社の方針をきちんと定める必要があります。目的に合わせて必要な要件を整理し、長期的にかけられる費用を算出してから、自社でデザイナーを採用するかどうか検討するとよいでしょう。

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