コロナ禍の折、新卒採用担当者は「リアルイベントに代わる学生との接触手段」を模索しています。

合同企業説明会やインターンシップイベントなどの採用イベントは、新卒採用の代表的な手法として市場に強く根付いていますが、そのほとんどがリアルで学生と接触することを前提に企画・開催されてきました。リアルイベントの開催が困難な今、コロナ禍に適応した学生との新しい出会いの場」が求められています。

株式会社ビビビットは、2020年8月5日~7日にかけて「うちでビビビット展」(第8回ビビビット展)を開催。コロナ禍でのクリエイティブ職採用イベントとして、「完全オンラインでの作品展示会」というアップデートを図りました。

展示型採用イベント「ビビビット展」とは

クリエイター採用サービス『ViViViT』のコンセプトである、「ポートフォリオでマッチング」を継承した作品展示会。来場企業は、作品を出展している学生一人ひとりとコミュニケーションをとることが可能です。

主な特徴】
1. 厳正な作品審査を通過した「クリエイティブ系優秀層」のみ出展
2. 「制作スキルと自社との相性」が効率よく同時に確認できる
3. インターンシップ動員など、参加費無料でアプローチができる

今回は、本イベントの当日の様子や来場企業の感想、出展学生の就活意欲・志向性などをレポートします!

過去開催レポートはこちら!


「うちでビビビット展」開催当日の様子

「うちでビビビット展」開催概要
開催日程 2020年8月5日~7日 ※7日は企業不参加の一般来場日
開催方法 バーチャルイベントツール『Remo』を使用
出展学生 2022年度卒のUX/UI系学生 34人
展示作品ジャンル「サービスデザイン」
来場企業 企業数 73社
人数 118人

◆開催当日の様子

「うちでビビビット展」は、バーチャルイベントツールRemo』を使用し完全オンラインで開催されました。複数フロアからなる会場をバーチャル空間に設け、学生には「ブースに見立てたテーブル」に作品データを展示していただきました。企業は学生テーブル(一種の小部屋)に入室することで、ビデオチャットで学生とコミュニケーションがとれるようになります。

「うちでビビビット展」会場。フロア中心に学生テーブルが並ぶ。入室可能かどうかは在室者のアイコン有無で確認できる。

学生テーブル内では、作品データを見ながら学生の作品プレゼンテーションや質疑応答、また企業からは学生の志望業界や興味分野のヒアリングなど、ざっくばらんにコミュニケーションがとられました。そして、一定時間が経つと企業は学生テーブルを退出、また別の学生テーブルへ入室するという流れでイベントは進行していきました(『Remo』の仕様上、テーブル内の通話はテーブル外には一切聞こえません)。

オンラインという特性上、学生/企業ともに地方からの参加も多くありました。採用担当者の多くが在宅勤務だったため、全国各地の「うち(家)」から盛んにコミュニケーションがとられ、ウィズコロナ時代の就職/採用活動を象徴するような出会いが数多く生まれました。

「学生テーブル」では、専用のホワイトボードに作品データが展示された。ビデオチャットやメッセージチャットで双方向なコミュニケーションが可能となっている。

◆「サービスデザイン作品」に特化した展示

今回の展示は「サービスデザイン作品」(発案レベル)に特化して行いました(例年夏はサービスデザインに特化、冬は多ジャンルで展示作品を厳選)。オリジナルのサービスデザイン作品をビジネス的観点で審査し、当日は全国から選び抜かれたUX/UI系学生に出展いただきました。

サービスの実現可能性やマネタイズ方法の設計など、会場にはデザインプロセスの上流工程から思考された学生作品が並びました。

学生作品 一部紹介①
作品制作であまった材料を、必要な人に“おさがり”できるサービス

学生作品 一部紹介②
“絵文字”をベースに思い出を記録できるアプリ


来場企業の感想&SNSでの反応

2日間の企業来場日に、延べ73社・118人の企業が来場しました。来場企業からは、学生作品への真摯なフィードバックも含めた、熱量の高い感想をいただきました。
※ビビビット展では毎回来場者にアンケートをとっています。より良いイベント運営に向けて、いただいたコメントを一つひとつ吟味し次回開催の運営改善に活用しています。

松田 莉奈さん(株式会社ビズリーチ 人財採用部 デザイナー採用担当)
今回のビビビット展は初のオンライン開催でしたが、出展学生とはマンツーマンでじっくり話すことができました。当社は「デザインとは課題解決や価値創造のプロセスそのもの」と考えています。作品の出来栄えだけでなく、そのアウトプットになるまでの思考プロセスや意図も重視しているため、深く話すことができるのは非常にありがたい機会でした。
当日は、どのような課題設定をしてデザインしたかをメインで伺いました。ユーザー課題をしっかり認識し、利用シーンまで考えられたサービスが多いと感じました。出展学生のみなさんが、ユーザー視点のデザインを日頃から大切にしていることが伝わりました。
大崎 淳さん(株式会社マネーフォワード 新卒採用担当)
学生の身近な課題や困っていることを起点にした、ユニークなサービスを拝見することができました。サービスデザインを今回初めて発案された方もいらっしゃいましたが、どれも分かりやすくまとめられており、当社も非常に勉強になりました。
オフラインでは中々お会いできなかった地方在住の方とも、オンラインだからこそお会いできました。さらに、「選考に進みたい!と当社を志望される方とも多く出会うことができました。大変有意義な機会をありがとうございました。
平野 友規さん(株式会社ユーザベース SPEEDA事業 CDO / 株式会社デスケル 取締役)
学生作品のレベルが高く、正直驚きました。即戦力として活躍されそうな方が多かったです。一方で、フレームワークの使いどころや、キャッシュポイントの磨き込みに甘い部分がありました。社会に出てリアルな情報に触れることでもう一歩飛躍する、そんなポテンシャルを持った学生と出会える素敵な場でした。
オンラインという点に関して、「作品データを拡大することでUIデザインの詳細部分まで確認できる」「全体と部分を柔軟に確認しながら作品説明を受けられる」などの良さがありました。ある意味、オフライン以上に実力が明らかになると感じました。「嘘のない」企画力・造形力・説明力が問われる場でもありました。
鈴木 翔さん(Sansan株式会社 Sansan事業部 プロダクト開発部 デザイナー)
イベントには非常に満足しています。出展学生全員が、当社で採用イベントを開催したときに「一人いらっしゃるかどうか」の高いレベルの方々でした。学生の志向性を深掘りすると、グラフィックや広告などにも興味を持っており、サービスデザイン以外の領域への意欲も高かったです。
一方で、総じてレベルは高いのですが、そのなかでもアイデアの視野が狭い・思考が足りない方もいました。また、プレゼンの上手い/下手も学生によって差が大きかったです。作品に対し、もう一つ二つオリジナリティが込められていると、全体的にさらに良くなったと思います。

◆Twitterでの来場企業の反応


アンケート実施「出展学生の意識調査」

出展学生2022年度卒・UX/UI系就活意欲や志向性などを明らかにするため、意識調査を目的としたアンケートを実施しました。主な結果は以下の通りです。

◆インターンシップ参加に非常に意欲的

出展学生34名全員が、インターンシップへの参加意欲を示した。7月初旬の本調査時点で「参加が決まっている」と回答したのは27人(約80%)にのぼった(【図1】)。

【図1】インターンシップへの参加意欲

事業会社・制作会社、志望度はほぼ同等

「事業会社」「制作会社」それぞれの回答数はほぼ同等であった。「業態にこだわりはない」が最も多かった(【図2】)。

【図2】志望する業態

◆BtoCサービス・プロダクトを強く志望

「BtoC」の回答数が最も多かった。次いで、「形態にこだわりはない」「BtoB」が続いた(【図3】)。

【図3】携わりたいサービス・プロダクトの形態

◆情報収集方法は、Pinterest・Twitterが二強

「Pinterest」「Twitter」の回答数がほぼ同数で最も多かった。次いで、「Instagram」「はたらくビビビット」(株式会社ビビビット運営)が多かった(【図4】)。

【図4】クリエイティブ関連の情報収集方法

※回答数が2つ以上あるもののみ集計。その他には、「Dribbble」「デザインノート」「美術手帖」「日経トレンド」「展覧会」などが挙がった。


【総括】コロナ禍で生まれた、新しい体験価値

◆「オンライン展示」という新たな挑戦

ビビビット展はリピーター企業も多いため、従来のリアル展示と同等かそれ以上の体験価値を目指し、オンライン化の企画・準備が進められました。

オンライン化での大きな焦点は、「展示ブースという概念を取り入れられるか」「作品を見ながらリアルタイムでコミュニケーションが取れるか」の2点でした。リアル展示と比べても遜色ないものとするためには、この2点を必ずクリアする必要があり、オンラインツールを検討するうえでも重要なポイントとなりました。『Zoom』『SpatialChat』『Miro』『cluster』など様々なオンラインツールを実際に使用し、操作方法や想定されるリスクが個々に洗い出されました。そして、最終的に『Remo』を使用して開催することが決まりました。

『Remo』での開催の決め手となったのは、テーブルやホワイトボードといった機能の存在です。テーブルがあることで出展学生一人ひとりに展示ブースを割り当てることができます。また、テーブル内のホワイトボードには画像などのデータの貼り付けが可能でした。このことから、『Remo』はオンライン展示に最も適しているという判断にいたりました。

オンラインツールの要件定義やリサーチを徹底して行い、入念にリスクヘッジをしたことで、結果的に学生/企業ともに満足度の高いオンライン展示をつくることができました。

◆夏と冬、異なるイベントの性質

ビビビット展は、大学3年生の夏と冬の時期にそれぞれ開催しています(専門学生の場合年次は問わない)。

夏開催の時点では、サービスデザイン関連の授業がまだ開講していない学校(後期授業として秋以降に開講)も多いことから、企画やデザインについての知識・経験が少ない出展学生もいます。しかし、夏のビビビット展が一つのきっかけとなり、秋から冬にかけて大幅な成長を遂げ、早期に内定を得る方も少なくありません。一方で、冬開催(展示作品は多ジャンル)は夏季インターンシップや後期授業を経て、就職活動に向けてしっかり準備をされている学生が出展します。

新卒採用担当者は上述の季節性を考慮したうえで、「夏はポテンシャル評価と早期接触」「冬は本格的な選考動員」など、時期に合わせた目的を持って参加されます。今回はコロナ禍での夏開催だったため、学生の成長機会や早期接触をいかに減少させないかが焦点でした。初のオンライン展示ということで反省点・改良点も多くありましたが、リアル展示に勝るとも劣らない新しい体験価値を、学生/企業双方に提供することができました。

ビビビット展は今後も、学生/企業のより良い出会いを創出していくために絶えずアップデートを重ねていきます。

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<執筆・編集:富山 有樹(株式会社ビビビット)>