今回のサクセスインタビュー:株式会社ホワイトプラス

株式会社ホワイトプラス
経営企画部 HR&PRグループ/高見 唯樹さん
明治大学を卒業後、リクルートに入社し、営業と人事を経験。その後、GMOアドパートナーズで、グループ会社5社の年間100名を超える中途採用を経験。2017年にホワイトプラスに入社し、採用・採用広報・オンボーディング ・組織活性など幅広く担当。

ホワイトプラスは、「新しい日常をつくる」というビジョンのもと、Webやアプリで注文ができる衣類の宅配クリーニングサービス『リネット』(2019年度グッドデザイン賞受賞)や、ハウスクリーニングのマッチングプラットフォーム『kirehapi(キレハピ)』といった生活領域に特化したサービスを複数展開しています。
2019年に採用ブログ『ホワプラSTYLE』をスタートし、採用広報を積極的に推進する同社。今回は、ストーリーを意識した採用という切り口で、言語化・定量化に基づいたダイレクトリクルーティングの実践手法を中心に伺いました。

※本取材は新型コロナウィルスの影響を鑑みて、オンラインMTGツールを使用し行いました。
今回のサクセスポイント

▼テーマ
採用効率化の肝は、“ストーリーを意識した採用”

▼課題
・会社の認知度が低い
・採用活動の生産性を上げたい
・応募から一次面接の通過率が7%と低い
▼対策
「入社前の認知から入社後の活躍まで」ストーリーを描く
・求める人物像の言語化
・CX(候補者体験)向上を意識したコミュニケーション
▼成果
・2021年度卒のUX/UIデザイナーを3ヶ月半で採用
・応募からの採用決定率が3倍向上
・面談の質が上がり時間も短縮

新卒採用をする3つの目的
若い感性で、インサイトを掴む

ーーまずは、デザイナー採用の経緯を教えてください。

高見さん
弊社サービス『リネット』は、「衣類」「布団」「靴」「衣類保管」の4つのカテゴリに分かれているのですが、デザイナーの人数も少ないので、すべてのカテゴリにデザイナーがコミットしきれていない部分があるのが現状です。ビジョン実現に向け、より統一感のあるデザインでブランドメッセージを強化するために、中長期的にデザイナー組織の強化をしたいというのが採用の背景です。
また、事業面だけに限らず採用活動や社内イベントといった、コーポレートデザインも強化したいと考えており、新卒にその役割を担ってほしいという想いもあります。

ーー今回は新卒採用でしたが、そもそも新卒採用を行なっている理由を教えてください。

高見さん
事業貢献の部分ももちろんありますが、新卒を採用することは組織作りの観点で重要と考えていますデザイナーに限らず、新卒採用の目的を社内では3つ定義しています。
1つ目が「未来の会社をつくる人材への投資」。ゼロベースで物事を学ぶことができるので、組織をリードする人材候補になることを期待しています。
2つ目が「文化づくり、潤滑油としての期待」。新卒は他の企業の色に染まっていないので、自社独自の文化醸成や組織の潤滑油としての貢献を期待してます。
3つ目が「組織の生産性向上・永続的な会社の成長」。継続的に会社を成長させるには、やはり次の世代に繋いでいくことが非常に大事です。新卒社員が入ることで、中途社員のノウハウやナレッジが見える化されます。
見える化されたものを基に、仕事の進め方や必要なポータブルスキル業界や職種に限定されない普遍的な能力を整理し、組織の生産性向上や継続的な会社の成長に繋がることを期待しています。

▶ 20年度入社の新卒6名(うち『ViViViT』経由でデザイナー入社)

ーーデザイナーに限った点だと、なにかありますか?

高見さん
『リネット』は、30代・40代の共働き世帯のお客様が多いですが、20代でバリバリ働いてますという方もご利用いただいています。なので、新卒が入ることで20代のお客様を意識したデザインの強化ができるのではという思いがありました。
また、新しい視点・価値観を考慮したデザインやサービス設計によって、までとは異なるサービスの価値づくりへと前進できるのではとも考えています。

ダイレクトリクルーティングへの挑戦
求めるターゲットの「言語化」

ーーダイレクトリクルーティングという手法を選ばれたのは何故でしょうか?

高見さん
理由は2つで、「会社の認知度が低い」のと「採用活動の生産性を上げたい」ことです。
よりマッチする方を探すために、応募を待っている待ちの採用ではなく、自分たちからアクションする攻めの採用をすることが不可欠です。また、採用の生産性を上げたい背景としては、私のリソースの問題があります。新卒採用ではデザイナー以外にも総合職やエンジニアの採用を、新卒採用以外では採用広報や組織活性なども担当しています。なので、とりあえず応募数を集めるでは効率が悪く無理だなと。
ダイレクトリクルーティングは初期導入やスカウトを送るなどの工数はかかりますが、「10人会って10人採用する」の理想を実現するために導入しました。採用広報においても認知度をやみくもに上げるよりも、会社のことを深く理解していただけるようなコンテンツづくりに現在は比重を置いています。

ーーなるほど。今回はどのようなターゲット設定をされて、スカウトを送られたのでしょうか?

高見さん
前提として、弊社には「White Plus’s Values」という社員に大切にしてほしい価値観があります。このバリューを要素分解して、採用基準を定義しました。そして、その基準にマッチしそうな方は「どんなことを学生時代に経験しているか」をイメージしながら、ターゲットを固めました。
例えば、「のびしろで戦う」というバリューを要素分解すると、新しい挑戦に本気で取り組めるか新しい知識・技術をキャッチアップできるか業務を仕組み化して工数削減を図る思考力があるか、などですね。詳細は『ホワプラSTYLEに書いてあるので、ご覧ください。
『ViViViT』では、デザインスキルよりも「どういった意図でこのデザインにしたのか」といった考え方を見ています。また、求職者ページの自己紹介文を見て、求める要素が複数当てはまる方に「話したい」(スカウト)を送りました。

▶ ホワイトプラスが大切にしている3つのバリュー

ーー御社は事業会社ですが、インハウスデザイナーという観点で意識された点はありますか?

高見さん
ユーザー目線でデザインをしたい想いがあるか」ですね。お客様の声を聞いてサービスを改善したいとか、お客様に価値を届けることにやりがいを感じるとか。併せて、どうしてそう思うようになったのか、その想いの強さを確認しています。
そこは初回面談でも説明してまして、事業会社と制作会社の違いを整理して「うちだとこういう能力が身につくよ」「制作会社のほうがデザインの幅は広いよ」と話しながら確認しました。
初回は特に、「どんなことがやりたいのか?」「会社選びの軸はなにか?」という話をしながら、お互いのフィット感を判断しています。

▶ デザイナー向けの会社説明資料、「身に着く能力の違い」を整理して説明

効率化の肝は“ストーリー採用”
注意すべきは、CX・EXの一貫性

ーー採用活動で、なにか課題はありましたか?

高見さん
昨年度の20卒採用の課題感としてあったのが、「ミスマッチな応募が多かった」ことですね。デザイナーは、応募から一次面接通過の率が7%と低かったんです。応募が多かったことで、応募者対応や連絡のスピードが遅かったことも原因の一つですね……。
いかに効率的にフィットする方と出会えるか、採用の生産性向上が21卒採用のテーマでした。そのために、入社前の認知から入社後の活躍・ロイヤルティーまでを考慮したストーリーを意識した採用が大切だと考えています。

ーー“ストーリーを意識した採用”とは、どういったものですか?

高見さん
候補者が弊社とどのように出会い、選考の過程でどんな感情を抱き、どんな覚悟で内定承諾をし、入社後どんなマインドでどんな活躍・成長をするか、ストーリーを描きながら採用活動をすることです。
ストーリーを描く上では、CXCandidate Experience=候補者体験EXEmployee Experinece=従業員体験の一貫性が肝だと思います。最近の採用現場では、特にCXの注目度が高まっていますよね。でも元々、採用現場にはCXという言葉はなくても概念はありましたし、CXだけに目を向けてしまうのは注意が必要です。

ーー「CX(候補者体験)・EX(従業員体験)の一貫性」について、具体的に教えてください。

高見さん
そもそも採用をなんのためにするのかというと、入社した人が定着・活躍し、会社の成長に貢献してもらうためです。であれば、CXだけで切り取らず、CX・EXの向上をセットで考えるべきです。仮にCXだけに目を向けて、選考時の体験が良かったとしても、EXが悪ければ不満やミスマッチによって退職となってしまいます。
会社の成長に貢献してもらうためにも、認知からロイヤルティーまでを全体俯瞰したストーリーを意識し、ときには期待値を正しく調整する。一貫したCX・EXを提供することが、ミスマッチを防ぐことにつながります。
このあたりを整理した上で、CXについては、ナイルさんの採用記事(ナイル株式会社)を参考にしました。コンセプトダイアグラムを設計しながら、どうコミュニケーションを取るのが良いかを検討しました。

▶ 候補者のコンセプトダイアグラム、フェーズに合わせたCXを検討

選考フェーズに応じたコミュニケーション
採用広報は「正しく」「深く」伝える

ーー具体的に、CX(候補者体験)を向上させるためにどんなことを行いましたか?

高見さん
例えばスカウトを送る際だと、あなたのどこに興味を持ったかと、その理由をしっかり伝えることですね。「プロフィールをしっかり読んでくれていると感じた」という候補者からの好意的なリアクションも多かったです。他には、共通点を見つけて伝えるもいいですね。「あなたの〇〇なところが活きれば、弊社で活躍できる可能性がある。なぜかというと」みたいなストーリーを提示してあげたり。
あと、「選考フェーズに応じて細かく記事を紹介する」のも徹底しました。初回面談前は会社全体の概要がわかるような記事、デザイナーと会う前はデザイナーの記事、代表面接前には代表インタビューの記事、「この候補者は働き方のイメージが湧いていないから、〇〇を送ろう」など。選考フェーズや候補者によって変えながら、いくつかパターン化させました。
効果として、よく出る質問が本当になくなりましたね。会社や人の解像度が上がったうえで質問してもらえるので、面談がより有意義になり、面談時間も短縮できました。

ーー記事コンテンツは、たくさん作られていたんですか?

高見さん
はい、私が3年前に入社したときに『Wantedly』で記事をたくさん書きまして、1年間で50記事くらいアップしてました(笑)。どんな事業・組織で、どんな人が、どんな想いで仕事をしているのか、そこを自分自身が知るためにまずは量をこなしました。結果的に共通する価値観を知れたり、求める人物像の解像度が上がったので、メリットは大きかったです。
そして昨年の夏には、『ホワプラSTYLEという採用ブログもスタートしました。

ーー採用ブログでは、どのような記事を書かれていますか?

高見さん
採用ブログのコンテンツは主に、ビジョンを伝える「パーパスコンテンツ」、企業文化を伝える「カルチャーコンテンツ」の2つですが、さらにそれらを11個に要素分解し、どの切り口での発信が必要かを考え、企画・編集しています。
HOW系の記事はバズりやすく、PVは伸びる傾向がありますが、今は会社を「正しく」「深く」伝えるようなコンテンツが中心です。認知獲得をどうすべきかはTwitterやnoteを個人で活用し、試行錯誤しています。

▶ 高見さんは採用広報としてTwitterも積極活用(@yuiki18takami

応募からの採用決定率が3倍向上!
リクルートで学んだ、3つのスキル

ーーそれでは、今回の最終的な結果と昨対比での改善点を教えてください。

高見さん
目標通り、『ViViViT』経由でUX/UIデザイナーを採用できました。
効率化の部分ですと、応募数を昨対比の1/3まで減らすことができました。応募からの採用決定率も3倍に向上しています。『ViViViT』でいうと、マッチング数が昨対比の1/2以下までに減少し、その分やり取りの有効パーセンテージも20pt向上しました

ーー応募数が減ったことの不安はなかったですか?

高見さん
採用担当って応募が少ないと焦るんですよ(笑)。でも今回は、そこを我慢して、認知/応募獲得に走らず、応募後のCVRをどう上げるかを優先しました。
求める人物像の解像度をあげ、響くであろうメッセージの打ち出し含め、候補者とのコミュニケーションを工夫する。求める人物像を軸にしたコミュニケーションができないと、結局内定を出しても辞退されてしまいます。なので、応募が少なくてもいいから、会社を正しく深く理解してもらうことに専念し、ある種の覚悟で割り切りました。
母集団形成は手広くやるよりも、自社に合うエージェント・合う媒体を選定し、いかにハックできるか。採用においても選択と集中は重要ですね。

ーー最後の内定/内定承諾フェーズで、気をつけた点はありましたか?

高見さん
これはデザイナーに限らないですが、候補者の「ヨミ管理」をしています。「この方に内定を出すと70~80%の確率で採用できる」「内定承諾する可能性が50%以上の候補者が少ないから、応募を増やす施策をしよう」など、採用可能性を定量化することで必要な行動量がすべて逆算で出てきます。リクルートでヨミ管理をしながら、営業や採用を経験させていただいたのが活きていると感じますね(笑)。
採用可能性を定量化するために必要なことは、候補者の状況を正しく理解すること・傾聴することです一人ひとりの選考状況や心理状況を適切なタイミングで確認できれば、コミュニケーションを工夫することができます。そもそも狙いはなにかどんな手段で取るのがよいか適切なタイミングはいつか、考え抜きます。どれだけ考えているかというと、寝ているときに夢で、最終面接や内定を出す場面が出てくるといえば分かりやすいですかね(笑)。

ーーリクルートでの経験は、高見さんの採用への考え方や姿勢にも影響を与えていそうですね。

高見さん
リクルートでは、「見立てる」「仕立てる」「動かす」の3つのスキルを学びましたが、“ストーリーを意識した採用”をする上でも意識しています。
見立てる」では、認知から活躍・ロイヤルティーまでを全体俯瞰し、課題を特定する。次に「仕立てる」では、採用課題に対する仮説を立て、企画実現のプロセスを作る。最後に「動かす」では、人事ひとりの力で採用はもちろんできないので、経営陣や社員を巻き込んだり、候補者に対しては気持ちに寄り添いながら、ストーリーを語る。
とても重要なポータブルスキルだなと感じています。人事配属の新卒メンバーがいるので、今後はこのあたりの「スキルや考え方を継承していく」それが私の新しい挑戦でもあります。今度は、どんなストーリーが描けるかを楽しんでいけたらと思います。

取材・執筆・編集:富山 有樹(株式会社ビビビット カスタマーサクセス部)