新卒デザイナーの研修プログラムは各社のブラックボックスとして普段なかなか共有されることはありません。企業の競争力を左右する重要な育成プログラムですが、発表し合えばさらに良いものを考えるきっかけになるのではないでしょうか。

先日5月28日(木)に、『#デザナレちょい見せ』Vol.2として「デザイン研修振り返り」をオンラインで開催。118名の方に申し込みいただいたVol.2の内容を、今回は一部抜粋してレポートします!

▼Vol.1レポート記事はこちら!
イベントレポート「リモートでどうやる?新卒デザイナー研修プログラム」~#デザナレちょい見せ Vol.1~

Vol.2「デザイン研修振り返り」

【概要】

新卒デザイナー研修を担当されている3名をお迎えしてライトニングトーク/交流会を実施。新卒研修をどういった狙いで設計しているのか、狙いに対してどういった内容の研修を行っているのか、といった実践に基づくナレッジを「ちょい見せ」していただきました。

【登壇者】

テーマ「研修、やっただけで満足してない?育成で意識すべき3つのポイント
株式会社ミクシィ
デザイン本部 デザイン戦略室 デザイン戦略グループ
遠藤 茜さん

2013年ミクシィに新卒入社。デザイナーとしてフォトブックやマッチングなど様々なサービスのUI/UXデザインに携わる。新規事業立ち上げも経験し、現在はデザイン戦略室に在籍、キャリア支援・広報活動を担当。
テーマ「新卒も先輩も成長する、サイバーエージェント流「オンラインクリエイター研修」
株式会社サイバーエージェント
メディア統括本部 クリエイティブ広報
白田 利枝さん

2011年新卒入社。スマートフォン特化アドネットワーク「AMoAd」の営業に従事したのち、2014年より技術職新卒採用人事へ。クリエイター職採用を専任で行い、育児休暇取得後に現職であるクリエイティブ広報へ。採用と広報セットで戦略設計などを行う。プライベートでは2児の母。
テーマ「デザイナー研修12年目の奇跡
ヤフー株式会社
CTO室 技術戦略推進部クリエイター人財戦略室
平岡 愛さん

ヤフー株式会社にデザイン職で新卒入社。生活メディア、決済金融系サービスなど20以上のサービス開発に携わりデザイン部部長を務める。現在はCTO直下部門にて、エンジニアとデザイナーを支援する人事制度の企画運営、新卒デザイナー育成などを担当。

【モデレーター】

株式会社ビビビット
代表取締役
小宮 大地

研修、やっただけで満足してない?
育成で意識すべき3つのポイント

株式会社ミクシィ
デザイン本部 デザイン戦略室 デザイン戦略グループ
遠藤 茜さん

ミクシィ・新卒デザイナー1期生の遠藤さん。研修をやっただけで終わらせないために、育成支援で意識すべき3つのポイントを示されました。

  • ポイント①「研修をしただけでは点の効果でしかない
    プロパーデザイナー向けにキャリア研修のイベントを実施しました。フレームワーク「Will Can Hope」を使用し目標設定、参加者の感想は上々でした。しかしその後、結果としてMgrへ共有できていない、あるいは共有だけで終わっており、ネクストアクションに繋げるところまで設計しないといけないと学びました。
  • ポイント②「Mgrを巻き込み、業務の中で成長させよう
    「ロミンガーの仮説」によると、学びの多くは業務から得られるとされています(“業務”70%・“ロールモデル”20%・“研修”10%)。この仮説を基に、業務を通じた理想の成長曲線を作成しました。Mgrも育成支援に巻き込み、成長曲線の一貫した流れの中でサポートすることを心掛けています。
  • ポイント③「業務の中で少し難しいことを挑戦させる
    成長をより加速させるには「目標×活性化」であると考えています。設定した「Will Can Hope」の下で、少し難しい仕事に取り組むことでモチベーションは最大化されます。これは、『デザイナーの活性化ー社内での試みと社外での試み』(橋田規子・2005年)という研究報告書を参考にしています。
  • 少し難しい仕事を整理すると、「領域を広げる」自分のメイン領域から少し発展した仕事、「規模が大きくなる」関わる人や影響範囲が少し大きくなる仕事、この2パターンになると思います。
  • デザイナーからキャリア支援に異動になり、はじめは「これまでの経験を活かせるのか?」と疑問でした。しかしやってみると、育成支援もデザインと一緒なんです。現状把握、課題を定義、解決策を検討、テスト、課題解決のプロセスが全く一緒でした。

▶ 遠藤さんのnoteでも本トークをレポートされています!詳細は こちら

新卒も先輩も成長する、
サイバーエージェント流「オンラインクリエイター研修」

株式会社サイバーエージェント
メディア統括本部 クリエイティブ広報
白田 利枝さん

ミッションステートメントで「クリエイティブで勝負する」と明言している同社。今年度から初めて、研修内容を自社で完全オリジナル化されたといいます。

  • 新卒クリエイター研修では、「マインドを育てる」ことにスコープを当てました。「マインド特化」「座学ゼロ」「技術は現場で」を軸にしています。技術に関しては、アップデートが非常に早いので、覚えの早い新人は現場で学んでもらったほうが良いと考えています。
  • 研修を通して、「若手社員の育成」にも力を入れています。研修プログラムの設計は、現場の若手社員に任せました。結果、新卒15名に対して、若手社員21名(と人事)でサポートすることになりました。若手社員はフロントを担い、責任は役員クラスの社員が持つ体制になっています。
  • 全クリエイター職種が同じ3つの課題(インフォグラフィックス、PCサイト、ゲームUI)に取り組みました。各課題の評価を★の獲得数で評価し、競争性を加えています。実業務では職域を越境することが多いので、「アウトプットへの妥協なき覚悟」を大事にし、あえて同じ課題にしました。
  • 研修のフルリモート化を決定したのは入社日前日でした。リモート化では、コミュニケーションの土台作りが重要と考え、セルフプロモーションプレゼンなど、新卒同士が相互理解を深める内容を意識しました。オンラインランチやオンライン飲み会も積極的に実施しました。結果、オンラインでもコミュニケーションは問題なかったです。
  • 完全オリジナル化した研修の成果は、新卒はもちろん、若手社員が成長し、会社を背負える人材が増えたことです。クリエイター社員自らが「良い採用をし、良い人材を育て、そしてまた良い人材が良い採用をする」といったループが出来上がりました。

デザイナー研修12年目の奇跡

ヤフー株式会社
CTO室 技術戦略推進部クリエイター人財戦略室
平岡 愛さん

100を超えるサービスを提供しておりデザイナーも数多く在籍している同社。新卒デザイナー研修の構築には、大きなトライアンドエラーが2つあったと示します。

  • 毎年多くの新卒デザイナーを採用しており、研修は4月~6月で約2ヶ月半かけて行っています。「ヤフーデザイナーとしてのマインドセット」を目的とし、デザイン業務に必要な基本的なスキル習得や、社内ガイドライン等の理解に重点を置いた内容になっています。
  • サービス拡充によって、あらゆるサービス開発に必要なスキル習得が必要になりました。そこから、グループ組織を横断したデザイナー集合研修を立ち上げ・実施したのが、新卒デザイナー研修の始まりです。
  • トライアンドエラー①「12年間で起きた大きな変化
    「スマートフォンの登場により、アプリ開発などデザイナーに必要なスキルが増えた」「UX/UIが重要視されるようになり、デザイナーの役割が広がった」があります。時代のトレンドに合わせながら、カリキュラムは毎年アップデートしてきました。
  • トライアンドエラー②「組織体制構築
    これまで何度か組織変更があり、研修の運営意思決定者も変わりました。組織のコンディションや体制に合わせて、意思決定者を決めることが大事です。デザイナーが主体的に関係者を巻き込んでいくことも大事だと思います。
  • 研修のオンライン化は、コミュニケーションのコントロールが鍵だと思います。つまづきは「参加者同士で気軽に声をかけることが難しい」「コミュニケーションが少ないと、初対面での自己開示が難しい」などで、学びは「履歴や連絡をとりやすい」「プロセスを時間で区切れるので進捗が早い」「参加者や見学者の上限キャパがない」などがありました。

Q&A

Q. 新卒デザイナー研修は「人事」と「デザイナー」、どちらが主導すべきだと思いますか?

遠藤さん
社会人としての基礎部分は人事主導のほうが良いかもしれないですが、デザイン領域はデザイナーが良いと思います。主導より、連携が大事かなと思います。
白田さん
どちらが、というよりかは、良い研修のために人事と現場で協力し合うことが重要だと思います。そのためにまずは、みんなで新卒の育成をするカルチャーを育てることが、大切だと思います。
平岡さん
デザイナー兼人事がいればベストなのではと思います。どっちもできれば組織が動きやすいですから。

Q. 学習の理解度・満足度など、研修の成果をどのように出していますか?

遠藤さん
そこは課題でもあるのですが、どんな指標が妥当かは目下議論しているところです。Mgrを巻き込んで半期など中長期的なスパンで測ってもいいかもしれません。
白田さん
研修実施後にアンケートを実施していて、それを一つの成果として定量化しています。
平岡さん
研修期間中に、受講者である新卒へのアンケートを定期的に実施して、学習理解が進んでいるかを見ています

まとめ

ミクシィ、サイバーエージェント、ヤフー、メガベンチャー3社の研修プログラムの課題・対策は三者三様で、とてもバラエティに富んだ内容となりました。また3社の共通点として、研修目的を具体的なスキル習得ではなく「マインド育成」と設定されている点も印象的でした。

次回、『#デザナレちょい見せ』Vol.3も鋭意企画を進めています!
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<編集・執筆:富山 有樹(株式会社ビビビット カスタマーサクセス部)>