新卒デザイナーの研修プログラムは各社のブラックボックスとして、普段あまり共有されることはありません。研修プログラムは企業の競争力を左右する重要な育成施策。発表し合えばさらに良いものを考えるきっかけになるのではないでしょうか。

2020年5月28日、デザイン組織のナレッジ共有会「#デザナレちょい見せ」(主催:株式会社ビビビット)は「デザイン研修振り返り」をオンラインで開催。

株式会社ミクシィ、株式会社サイバーエージェント、ヤフー株式会社の各担当者をお招きし、これまで実践してきたデザイナーの新卒研修プログラムをお話いただきました。本イベントの内容を一部抜粋してご紹介します。

【ゲストスピーカー(敬称略)】

  • 遠藤 茜|株式会社ミクシィ デザイン本部 デザイン戦略室 デザイン戦略グループ
  • 白田 利枝|株式会社サイバーエージェント メディア統括本部 クリエイティブ広報
  • 平岡 愛|ヤフー株式会社 CTO室 技術戦略推進部 クリエイター人財戦略室


研修、やっただけで満足してない?育成で意識すべき3つのポイント

株式会社ミクシィ
デザイン本部 デザイン戦略室 デザイン戦略グループ
遠藤 茜(note

2013年ミクシィに新卒入社。デザイナーとしてフォトブックやマッチングなど様々なサービスのUI/UXデザインに携わる。新規事業立ち上げも経験し、現在はデザイン戦略室に在籍、キャリア支援・広報活動を担当。

ミクシィの新卒デザイナー1期生である遠藤さん。研修をやっただけで終わらせないために、育成支援で意識すべき3つのポイントを示されました。

①研修をしただけでは点の効果でしかない

プロパーデザイナー向けにキャリア研修のイベントを実施しました。フレームワーク「Will Can Hope」を使用し目標設定、参加者の感想は上々でした。しかしその後、結果としてMgrへ共有できていない、あるいは共有だけで終わっており、ネクストアクションに繋げるところまで設計しないといけないと学びました。

②Mgrを巻き込み、業務の中で成長させよう

「ロミンガーの仮説」によると、学びの多くは業務から得られるとされています(“業務”70%・“ロールモデル”20%・“研修”10%)。この仮説を基に、業務を通じた理想の成長曲線を作成しました。Mgrも育成支援に巻き込み、成長曲線の一貫した流れの中でサポートすることを心掛けています。

③業務の中で少し難しいことを挑戦させる

成長をより加速させるには「目標×活性化」であると考えています。設定した「Will Can Hope」の下で、少し難しい仕事に取り組むことでモチベーションは最大化されます。これは、『デザイナーの活性化ー社内での試みと社外での試み』(橋田規子・2005年)という研究報告書を参考にしています。

キャリア支援・育成もデザイン

少し難しい仕事を整理すると、「領域を広げる」自分のメイン領域から少し発展した仕事、「規模が大きくなる」関わる人や影響範囲が少し大きくなる仕事、この2パターンになると思います。

デザイナーからキャリア支援に異動になり、はじめは「これまでの経験を活かせるのか?」と疑問でした。しかしやってみると、育成支援もデザインと一緒なんです。現状把握、課題を定義、解決策を検討、テスト、課題解決のプロセスが全く一緒でした。

編集後記:本発表内容は遠藤さん自身もnoteを書かれています!記事は
こちら


新卒も先輩も成長する、サイバーエージェント流「オンラインクリエイター研修」

株式会社サイバーエージェント
メディア統括本部 クリエイティブ広報
白田 利枝

2011年新卒入社。スマートフォン特化アドネットワーク「AMoAd」の営業に従事したのち、2014年より技術職新卒採用人事へ。クリエイター職採用を専任で行い、育児休暇取得後に現職であるクリエイティブ広報へ。採用と広報セットで戦略設計などを行う。プライベートでは2児の母。

「クリエイティブで勝負する」とミッションステートメントで明言する同社。今年度から初めて、研修内容を自社で完全オリジナル化したといいます。

完全オリジナルの新卒クリエイター研修


新卒クリエイター研修では、マインドを育てる
ことにスコープを当てました。「マインド特化」「座学ゼロ」「技術は現場で」を軸にしています。技術に関しては、アップデートが非常に早いので、覚えの早い新人は現場で学んでもらったほうが良いと考えています。

研修を通して、若手社員の育成
にも力を入れています。研修プログラムの設計は、現場の若手社員に任せました。結果、新卒15名に対して、若手社員21名(と人事)でサポートすることになりました。若手社員はフロントを担い、責任は役員クラスの社員が持つ体制になっています。

全クリエイター職種が同じ3つの課題(インフォグラフィックス、PCサイト、ゲームUI)に取り組みました。各課題の評価を★の獲得数で評価し、競争性を加えています。実業務では職域を越境することが多いので、「アウトプットへの妥協なき覚悟」を大事にしあえて同じ課題にしました。

コロナ禍での研修、若手社員の成長

研修のフルリモート化を決定したのは入社日前日でした。リモート化では、コミュニケーションの土台作りが重要と考え、セルフプロモーションプレゼンなど、新卒同士が相互理解を深める内容を意識しました。オンラインランチやオンライン飲み会も積極的に実施しました。結果、オンラインでもコミュニケーションは問題なかったです。

完全オリジナル化した研修の成果は、新卒はもちろん、
若手社員が成長し会社を背負える人材が増えたことです。クリエイター社員自らが「良い採用をし、良い人材を育て、そしてまた良い人材が良い採用をする」といったループが出来上がりました。


デザイナー研修12年目の奇跡

ヤフー株式会社
CTO室 技術戦略推進部クリエイター人財戦略室
平岡 愛

ヤフー株式会社にデザイン職で新卒入社。生活メディア、決済金融系サービスなど20以上のサービス開発に携わりデザイン部部長を務める。現在はCTO直下部門にて、エンジニアとデザイナーを支援する人事制度の企画運営、新卒デザイナー育成などを担当。

100を超えるサービスを提供しデザイナーも数多く在籍する同社。新卒デザイナー研修の構築には、大きなトライアンドエラーが2つあったといいます。

新卒デザイナー研修の目的と体制

毎年多くの新卒デザイナーを採用しており、研修は4月~6月で約2ヶ月半かけて行っています。「ヤフーデザイナーとしてのマインドセット」を目的とし、デザイン業務に必要な基本的なスキル習得や、社内ガイドライン等の理解に重点を置いた内容になっています。

サービス拡充によって、あらゆるサービス開発に必要なスキル習得が必要になりました。そこから、グループ組織を横断したデザイナー集合研修を立ち上げ・実施したのが、新卒デザイナー研修の始まりです。

トライアンドエラー①「12年間で起きた大きな変化」

「スマートフォンの登場により、アプリ開発などデザイナーに必要なスキルが増えた」「UX/UIが重要視されるようになり、デザイナーの役割が広がった」があります。時代のトレンドに合わせながらカリキュラムは毎年アップデートしてきました。

トライアンドエラー②「組織体制構築」

これまで何度か組織変更があり、研修の運営意思決定者も変わりました。組織のコンディションや体制に合わせて、意思決定者を決めることが大事です。デザイナーが主体的に関係者を巻き込んでいくことも大事だと思います。

コロナ禍での研修所感

研修のオンライン化は、コミュニケーションのコントロールが鍵だと思います。つまづきは「参加者同士で気軽に声をかけることが難しい」「コミュニケーションが少ないと、初対面での自己開示が難しい」などで、学びは「履歴や連絡をとりやすい」「プロセスを時間で区切れるので進捗が早い」「参加者や見学者の上限キャパがない」などがありました。


Q&A

Q. 新卒デザイナー研修は、人事とデザイナーどちらが主導すべきだと思いますか?

遠藤さん
社会人としての基礎部分は人事主導のほうが良いかもしれないですが、デザイン領域はデザイナーが良いと思います。主導より、連携が大事かなと思います。
白田さん
どちらが、というよりかは、良い研修のために人事と現場で協力し合うことが重要だと思います。そのためにまずは、みんなで新卒の育成をするカルチャーを育てることが、大切だと思います。
平岡さん
デザイナー兼人事がいればベストなのではと思います。どっちもできれば組織が動きやすいですから。

Q. 学習の理解度・満足度など、研修の成果をどのように出していますか?

遠藤さん
そこは課題でもあるのですが、どんな指標が妥当かは目下議論しているところです。Mgrを巻き込んで半期など中長期的なスパンで測ってもいいかもしれません。
白田さん
研修実施後にアンケートを実施していて、それを一つの成果として定量化しています。
平岡さん
研修期間中に、受講者である新卒へのアンケートを定期的に実施して、学習理解が進んでいるかを見ています

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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