正社員1人を雇うのに、給料のおよそ2~3倍以上の費用がかかると言われています。これは採用にかかる費用に加えて、入社してからの設備投資や社会保険、福利厚生にも費用がかかるため。さらにデザイナーには特別なソフトや周辺機器が必要になることもあるので、コストは不安の種ですよね。
これまでデザイナーとして活躍し、これから独立しようという方の中には、そういった細かいことはよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
コスト面だけを考えると、「外部に発注する」「アルバイトや派遣を利用する」ということもできます。しかし組織の成長のために、社員をきちんと採用したいという想いもありますよね。今回は、これから独立して会社を興したい、人件費を見直したいという方向けに、従業員ひとりを雇用するのにかかる費用の内容を解説していきます。
従業員の雇用には、どんな費用がかかる?
まずは従業員の雇用を行う際、主にどういった費用が発生するのか説明していきます。
採用にかかる費用
正社員でも即戦力となる中途を採用するのか、ポテンシャルを見込んで新卒を採用するのかで、採用コストには差があります。アルバイトや派遣社員の採用も、それぞれ異なる費用がかかってきますね。そのため、具体的な数字は断言できませんが、以下のような費用がかかります。
- 求人広告費、紹介手数料
- 入社案内制作費
- 説明会会場費
- 会社案内制作費
- 面接する社員の給与
「求人広告費」「入社案内」といった採用ツールのほか、それを運用する人事や採用に関わる社員の工数も含まれています。
採用ツールはさまざまなので費用を削りやすそうに見えて、あまりにコストを抑えると採用自体に失敗しかねないため、悩みどころです。
業務に使用する機器などの設備費
デスクやオフィスチェアなどの用意はもちろん、特にデザイナーはスペックの高い設備を必要としています。たとえばPCを購入すると1台15〜20万円はかかるでしょう。
さらに「Photoshop」や「Illustrator」など専用のソフトや、特殊なフォントの購入にも費用がかかります。
社会保険(労災保険・雇用保険・厚生年金・健康保険)
社会保険は従業員の給料によって負担額が変わりますが、正社員の場合の会社の負担額はおよそ給料の15%と言われています。
社会保険には「健康保険」「介護保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」の5つがあり、それぞれの保険料は労働者と事業者で分担すると法律で決められています。負担の割合は保険ごとに決まっており、業種によっても異なります。
- 健康保険
怪我や病気の際、3割負担で病院にかかれる医療保険。保険料は企業と社員とで半額ずつ負担します。保険料は、会社がどの健康保険組合に加入しているかによって異なります。 - 介護保険
介護が必要になった際、1~2割の負担でサービスを受けるための保険。社員が40歳以上になると加入義務が発生し、健康保険料と一緒に納付します。
負担割合はこちらも半額ずつです。 - 厚生年金
企業に勤めるひとが、基礎年金(国民年金)に上乗せして年金を受け取れる制度の掛け金。日本の公的年金は「2階建て」と言われますが、その2階部分です。こちらも企業と社員で半額ずつの負担です。 - 雇用保険
社員が失業したときに失業給付などを受けるための保険。農林水産、酒造、建築など事業によっても保険料率が異なります。 - 労災保険
業務中や通勤中に負った怪我や事故などによる死亡、病気に備える制度です。
保険料率や従業員の賃金によって金額は変わりますが、全額会社負担となります。
福利厚生費
ウォーターサーバーやコーヒー、オフィスコンビニなど日常的なものから、慶弔見舞金、社内での飲み会費用などが含まれます。
近年は福利厚生に力を入れる企業が増え、費用も増加している傾向にあります。
退職金の積み立て
社員にかかるコストは社会保険料だけではありません。近年退職金制度のない企業も増えてきましたが、制度のある企業はもちろん積み立て費用がかかります。
もし新卒から40年間の雇用で1,000万円の退職金を計画していたとすると、単純計算で毎年25万円を積み立てる必要があるのです。
雇用形態によって会社が負担する保険額は異なる
雇用形態によって会社が負担する費用に差がでるのは、主に保険料です。企業が支払うべき保険料(○)を、雇用形態別に以下の表にまとめました。
ただし派遣社員の場合は、派遣会社に支払う料金に社会保険料や手数料も含まれているため、正社員・契約社員に比べてコストが低いと一概には言えないでしょう。
健康保険 | 介護保険 | 厚生年金 | 雇用保険 | 労災保険 | |
正社員 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
契約社員 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
アルバイト | △※1 | △※1 | △※1 | △※1 | ◯ |
派遣社員 | 派遣会社で加入 | ||||
業務委託 | × | × | × | × | × |
※1 諸条件に合致した場合加入必須
まとめ
従業員ひとりを採用すると、膨大なコストがかかります。それでも組織を成長させて強くするためには、継続的な雇用と育成は必要です。会社の費用を無駄にしないよう、採用活動を慎重に行うことが大切ですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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