地方でのクリエイター採用に悩む企業は少なくないはず。2016年に発表された経済産業省のレポート(※)では、デザイン業に従事する人は東京・大阪に集中しており(2014年時点で東京43.2%、大阪15.2%)、それ以外の地域で働くクリエイターはまだまだ少ないのが現状です。
そんななか、福岡県に拠点をおきながらクリエイター採用で高い実績を誇る企業があります。それが、リディアミックス株式会社。健康食品や化粧品など通販業界におけるWeb広告デザインを主軸に、成長している真っ最中の企業です。
この記事ではリディアミックスの人材を判断する軸や、採用の秘訣について代表取締役の松下さんに伺います。

松下 剛/リディアミックス株式会社
代表取締役

印刷会社の営業を経て2003年にリディアミックス株式会社を設立。「デザインとは人を幸せに導くこと」という思いを胸に、採用をはじめ会社の体制作りに日々尽力している。私生活では家族を愛するパパでもあり、ブログにその日常を綴ることも。

※…出典:経済産業省「デザイン政策ハンドブック2016(2016年3月)┃Ⅳデザイン関係統計資料」

地方でも不利だと感じることはない

ー新卒採用、中途採用は毎年行っているんですか?

ここ2、3年は毎年行っていますね。新卒でいうと、昨年は4名入社、今年は8名内定です。デザイナーの数でいうと、昨年も今年も同じ3名ですね。
2018年入社は全員福岡の学校でしたが、2019年入社は全員県外で、東京、大阪、岡山から入社してくれる予定です。もちろん狙って県外から採用したわけではなく、スキル・人柄面で評価が高かったのがたまたまその3名だったのですが。

ーそれは幅広いですね。面接は福岡で行ったのですか?

基本的にはそうしました。ただし絶対にというわけでなく、Skype面接も行いました。でもできれば対面の方が良いですね。やっぱり人柄が伝わりやすいですから。

ーほかに地方での採用が不便・不利に感じる点はありますか?

特にありませんね。もともと福岡のみでしか採用はしていませんでしたが、むしろViViViTを使い始めてからは県外の方の採用もできるようになりました。
現在仕事の半分近くは東京のクライアント様からいただいているので、その割合が高まれば東京に拠点を置こうと考えることがあるかもしれません。ただ、現時点では皆さんに応募したいと思っていただける会社づくりをするほうが先だと思っています。

ー地方での採用で不利に感じる点がないとは、意外ですね。リディアミックスジャーナル(※)など、貴社サイトのコンテンツも関係しているのでしょうか?
※…リディアミックスの企業サイトに掲載されている記事コンテンツ。デザイン・テクニカルにまつわる知見やリディアミックスが手掛けたデザインの制作裏話が掲載されている。

関係している部分はあると思います。弊社がいろいろなことをしっかり考えてものづくりに臨む会社だということが、読んだ方に伝わるようにという思いで作っていますので。
ただリディアミックスジャーナルは採用目的というよりも、現在・将来のクライアント様に向けた意味合いが大きいですね。会社としていろいろな取り組みを行っていることが、体裁だけじゃなく本質的に伝わることが良い仕事につながると考えていますから。
スタッフブログや社長ブログにはそのほかに、社内の人間の人柄・思いを伝えたいという狙いもあります。スタッフブログは交代で書いてもらっていて、スタッフの自己学習にもつながっているようです。

採用ターゲットは“繊細な人”

ー貴社がクリエイター採用において特に意識しているポイントはどこですか?

よく観察しようと心掛けているのは、“繊細さ”です。例えば課題を与えられたときにはちゃんと時間を守る。提出する資料やポートフォリオが、読み手にとってわかりやすく作られている。細かい要素も雑に作られていない。
ものづくりのお仕事なので「自分の作るものにこだわりを持って追求できるかどうか」はとても重要だと考えています。もちろんグラフィックデザインのセンスも大切です。

―なるほど、繊細さとセンス……。具体的にはどう判断されますか?

繊細さに関しては、ポートフォリオが大きな判断要素になりますね。しっかり作りこまれているかどうかは一目瞭然です。こちらのメッセージに対してレスが早いというのも一つの判断材料になります。もちろん面接も人柄を判断する重要なポイントです。
センスについては、面接通過後に会社に来ていただいて2日ほど課題に取り組んでもらっています。実際のクライアントさんから発生しているものを題材とした課題に挑んでもらうので、直接ポテンシャルが測れます。

―新卒と中途で、採用基準に違いはありますか?

新卒は人柄重視、デザイナーはそれに加えてセンスも重視しています。弊社では当初からデザイナー採用に取り組んでいたこともあり、今では10年目、6年目、5年目と、ベテランデザイナーが揃っています。社員を育てられる環境が整っているため、デザイナーは基本的に新卒のみを採用しています。

エンジニアやディレクターなどの職種では中途採用も積極的に行っています。その際はこれまでの会社における在籍年数は重視していますね。その方が前職でどれだけの評価を得てきたのか、困難に耐える力はあるのかを測る一つの指標になると考えています。

採用成功の秘訣は“マメなやりとり”

―リディアミックスさんがViViViT上で「話したい」を押した際の、承認率は非常に高水準ですね。その秘訣は何ですか?

新卒採用についてはずっと僕自身で行っていて、せっかく縁があって弊社を知ってくれた方にはマメに対応しようと心掛けています。
例えばポートフォリオをただ確認するだけでなく、良かった点や感想を書き留める。マッチングした際には、その点をしっかりと伝える。ほかに「入社したら実際には何がやりたいですか?」と聞いたりもしています。

―しっかりコミュニケーションを取られているということですね。

採用戦略というわけではないんですけどね。応募してくれた方とは実際に顔を合わせるわけなので、真摯に対応したいと思っています。

―実際に顔を合わせるといえば、昨年京都で開かれた「クリエイティブのしごと展」(※)に参加されていましたよね。感触はいかがでしたか?
※…ViViViT主催の展示×就職の融合展。体験型展示を通して企業とクリエイティブ学生が出会える場となっている。

さまざまなメリットがありました。学生さんとの出会いの場として採用に役立ったほかに、スタッフが他社の方や学生さんに企業の顔として接することができたのも良かった点です。社外の方に向けて自社をPRする機会を得たことで、スタッフ一人ひとりに新たな発見や気づきが生まれました。

―ありがとうございます。最後に今後の採用における目標を教えてください。

現在弊社はプロのクリエイターチームとして、体制を整えているところです。
もともと個人事業のような形で始まった会社のため、エンジニアやディレクターなどデザイナー以外のサポート体制を整え始めたのはここ2、3年の話なんです。まずはその体制づくりをどんどん進めていきたいなと。体制が整ったら新卒採用にさらに力を入れたいです。

リディアミックスは「人に喜ばれる仕事をして、みんなを幸せにしよう」という理念を持っています。僕はそういう思いに共感してくれた社員と、自分のことだけを考えず周りのことを考える風土を社内に根付かせていきたい。そのためにどんどん新卒を採用して、若い力を生かして欲しいです。

<取材・執筆:宮田文机>
<編集:シンドウサクラ>