「もっと自由に働きたい……!」そう思ったことはありませんか?
フレックスタイム制度やリモートワーク、副業(複業)の許可。徐々に広まってきてはいますが、「まだまだ自分や、自分の会社には縁遠い」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

副業が特に盛り上がっているクリエイティブ業界では、近年本業に活かすために副業を開始する方も増えています。
そこで今回、11月28日に行われたビビビセミナーVol.2にご登壇いただいたのは、ビジ部にも寄稿していただいている株式会社サインコサインの加来幸樹さん。
株式会社セプテーニで働きながら副業をはじめ、2018年4月にグループ子会社として会社を設立されました。

「自由に働く」を実現するためには、企業と個人が対等になることが重要だと語る、加来さんのセミナーをレポートします!
セミナーと同時に、今回はグラフィックレコーディング(グラレコ)も行われました!

加来幸樹/(株)サインコサイン
代表取締役社長CEO FUTURE CO-CREATOR

2006年に株式会社セプテーニへ新卒入社し、クリエイティブディレクターとして活躍。2018年4月に株式会社SIGNCOSIGN(サインコサイン)を設立。多種多様なメンバーと、様々な共創手法を用いたブランドアイデンティティ構築やインナーブランディング領域を中心に支援を行っている。

クリエイティブにクリエイターと働くためには?

「今日みなさんとモヤモヤしたいことは、『ピンチとチャンスの拡大するこれからの時代の中で 自由に、クリエイティブに、クリエイターと働くためのヒント』です。」

まずこれを聞いて、「チャンスの拡大はわかるけれど、ピンチとは?」という疑問が浮かんだ筆者。お話を聞いていくと、どういうことかがわかりました。

現在、技術革新に伴ってあらゆるものの差別化が困難になる「コモディティ化(COMMODITY)」が進んでいます。さらに、文化や価値観は多様化(DIVERSITY)。そして、予測不可能な出来事が次々起こる現在(VOLATIRITY)。
そんな中で、企業に所属し与えられた仕事をこなす、これまでのサラリーマンとしての働き方を続けていて、本当にこれからの時代を生き残れるのか。
どんな大企業も絶対に倒産しないという確証もなく、寿命も長くなる中でずっとスキルを磨き続けて会社に求められる存在であり続けられるのか。

SNSの普及もあり、企業に所属するサラリーマンであっても世の中に影響力を持ったり、フリーランスとして短い経歴でも大きな活躍をしたり。そんな方の存在が、近年ますます大きくなってきていることを筆者も確かに感じています。

それを見据えた時、「サラリーマンでももっと『自由』に働くべきでは?」という考えが生まれた加来さん。

そこでどうしたか?というと、2014年にサラリーマンとして働きながら「タイムチケット」というサービスを介して30分500円でネーミングを売り始めます。

当時セプテーニでは副業が禁止されていたため、売上をタイムチケット上で自動的に全額寄付するよう設定をしていたそう。またクリエイター業界からは「クリエイターの価値に泥を塗るな」との声も。
社内外からの批判を受けながらも、「これだけネガティブなフィードバックがくるほど、インパクトのあることをやっているんだなあ」と思いながら活動を続けたそうです。
結果的にテレビにも取り上げられるほど話題になったこの活動。
それを通じて感じたことは、「優良企業で働けていても、『個人』としての市場価値がなければ面白い仕事や出世の機会が巡ってこなくなる」ということでした。

一方でそのような価値のある「個人」が増えると、企業はその人たちにとって魅力的な要素がなければ、優秀な人材を採用して事業を成長させ、生き残ることができない。
それは、本当の意味で企業と個人が対等になるということだと考えました。

起業家のようなサラリーマンになろう!

それに気づいた2015年頃、周囲では「デッドオアアライブ」のスタートアップがかっこいいというような風潮がありました。しかし加来さんは、リスクを背負って起業するよりも、サラリーマンでありながら起業家のように働こうと考えました。失敗してもベースは安定しているし、成功すればショートカットできるのではないかと思い、活動の幅を広げていきました。

加来さんの考える副業の定義は、以下の3つ。

  • 副業1.0:主に副収入を得るために行う
  • 副業2.0:本業にも活きるスキルを磨く
  • 副業3.0:自分を主語に仕事・活動を選択できる

ここで始めたのは、本業にも活きるスキルを磨く「副業2.0」。個人として対外的なコンペに参加したり、プロジェクトを行ったりし始めました。
するとそこで得られた実績が評価され、イベントやセミナー登壇の機会が増加。そのうちに、会社にしがみつかなくても大丈夫だという余裕が生まれ、本業にもプラスの影響が生まれました。

コトバづくりの経験も活かし、会社の考え方やクリエイティブについてのノウハウを社内外に発信し、セプテーニ自体の価値を上げることにも貢献。
社内で昇進したり、社内賞を受賞したりと、副業で得られた経験やスキルが本業でも評価される相乗効果が生まれ始めました。

役割を越えた「共創」のスタンス

ここで気づいたのは、「自分の仕事は単にコピーやネーミングを考えることではなく、一緒に考える場をつくるということ。
もっとクライアントやパートナーの垣根を越えて「共創」のスタンスで仕事をしたい。
そう思い始めたタイミングで、相談される仕事が「自社の価値を再定義したい(リブランディング)」「社内間でイノベーションを創出したい(チームビルディング)」など、根源的なニーズにシフトし始めました。

「これからの(広告)会社って、そんなニーズにも『自由』に応えるチームのことを言うんじゃないのかな?」と考えた加来さんは、ついに会社を立ち上げました。

加来さんが考えるこれからの働き方は、“自分を主語に仕事・活動を選択できる”「副業3.0」の時代。
人間としての自分のビジョン・ミッションを組み合わせて自己実現を目指す時代になっていく。優秀なクリエイターほど、これからもっと「副業3.0」の働き方にシフトしていくのではないか。ということでした。

現在は、サインコサイン の代表を務めながら色々なことをされているそう。

  • 個人ビジョン:一人からも全員からも、注目を浴びる存在でいる。
  • 個人ミッション:それって本当?を問い続け、人生をもっと面白くする。

これらを掲げて、オンラインサロンに参加して傍観したり、大学生が開催する集まりに講師として参加したり。個人事業主としても仕事を受注しているそうです。

自分自身が自己実現のためにさまざまに働く中、Twitterでもアンケートをとったところ半分以上の方が「これからの時代、ひとつの会社にコミットなんてありえない!」という考え方に共感したという加来さん。

そのように、優秀な人ほど複数の会社やチーム・コミュニティに属する一方で、やりたいことのできない現実や物足りなさに直面しているという声を聞くことも多いとのこと。
そこで、サインコサインはさまざまな人と雇用形態に関わりなくコミュニティを形成し、プロジェクト単位でそれぞれと共創しているそうです。

「副業3.0」時代のクリエイターが集まる会社とは

改めて、物事の差別化が難しく(COMMODITY)、多様化が進み(DIVERSITY)、予測不可能な自体が次々と起こる(VOLATIRITY)現在。成長し続ける企業ポジショニングを取ることは困難です。

ではどうすればいいのかというと、以前から広告をつくる際に言われていたのは「マーケットの声に耳を傾けて何ができるか(WHAT)を伝えることが大切?」ということ。そうすることで市場の「共感」が得られて、選んでもらえると言われていました。

しかしここで考えるべきなのは、その「共感」とはどうすればつくれるのか?ということ。2009年にサイモン・シネック氏はTEDのプレゼンにおいて「なにができるか(WHAT)ではなく、なんのために(WHY)こそが人の心を動かす」と説きました。
なぜなら、影響力や発信力がある人ほど「自身の共感に従って行動する」から(イノベーター理論)。

ブランド理念をきちんと掲げて、ひとつの商品や事業だけではなく、会社自体に共感をしてもらう。
「どんな良いことをしているか」「何をしている会社か」ということではなく、「どんな信念を掲げているか」をアピールする。
大義あるブランド目的を掲げている企業は、そうでない企業に比べて約3倍の成長を実現しているというデータもあります(Jim Stengel, GROW)。

ブランドを考える上で重要なのは、ふたつの視点。広告やコンテンツ、メディア発信など、いかにブランドを顧客に届けるか?という「EXTERNAL(to 社外)」。組織体制や評価指標など、理想を実現する文化を作れるか?という「INTERNAL(to 社内)」。
社外の顔だけでなく、社内文化も顧客にとってのブランドになるのがいまの時代です。

これは、「クリエイター採用」にも同じことが言えるのではないでしょうか?
優秀なクリエイターを採用し続けるためには、クリエイターの声に耳を傾け「あなたはこの会社で何ができるか(WHAT)」を伝え続けることだけが大切なことではないはずです。
現在多くのクリエイターから注目を集めているGoogleやWeWork、メルカリやZOZOなどは、壮大なブランド理念を掲げています。

ではこれを伝えていくためにはどうすれば良いのか。サインコサインでは「自分の言葉で語るとき 人はいい声で話す(SIGN MY VOICE, LIVE IN LIBERTY)」という基本理念/信念を伝えるために以下のようなことを実践しています。

  • 事業内容へ反映(EXTERNAL):ワークショップなどを行って、関わる当事者同士で共創を生むプロセスを重視
  • コアメンバーへの浸透(INTERNAL):企業の信念を体現するようなオリジナルコーヒーを開発し、定期的な理念浸透を図る

このように、「ブランド目的を掲げ、社内外にしっかり浸透・実行しながら、ステークホルダーにとって魅力的な資源(ヒト・モノ・カネ)を提供する」ということをサインコサインでは行っています。

参加者からの質問

参加者
ただ強引に「自由に働きたい!」と言っても会社からは受け入れてもらえませんよね。どうやったら人に認めてもらえる自由を手に入れられるのでしょうか?
加来さん
「自由」は状態を指す言葉ですよね。「今日から君は自由です」と言われたから自由になるわけではないので、「自分は自由になったな」と思うためにはステップを踏む必要があります。キャリアをつくっていくための、PDCAのようなものでOFMIサイクルというものがあると僕は思っています。
Oはアウトプット。制作物でもSNSでもいいので何かしらの発信をしていくことによって、良い悪いに関わらずそこに対してのフィードバック(F)がもらえます。それがモチベーション(M)に作用して、もっと勉強してインプット(I)しようと思える。インプットするとまた新たなアウトプットに繋がるという、OFMIのサイクルになります
「自由になりたい」というのは、つまりフィードバックがほしいということだと思うんです。自由になって世の中から認められたい、もっといい仕事が集まってくればいいのに、ということ。
このOFMIというサイクルは、まずアウトプットから始まるんです。いきなり「自由にしてくれ」「フィードバックをくれ」と求めたとしても、くるわけがないんです。そうなるためには、小さくてもいいので何かをアウトプットし続ける。そうするとだんだんかえってくるフィードバックも大きくなって、求めていた自由にたどりつけるということだと思います。
参加者
会社のクリエイター採用を担当しているのですが、会社側には「正社員を採用してほしい」といわれる一方、スキルのある候補者には「自由な働き方をしたいので業務委託にしてほしい」と希望されてしまいます。
この場合、どうすれば動き方をすればうまくいくのでしょうか?ちなみに、会社として副業の禁止はしていません。
加来さん
普通の回答になってしまいますが、両者に対して意識改革を行っていくしかないのかもしれません。会社には「いまは正社員という雇用形態に固執しない時代ですよ」と啓蒙し、クリエイターさんには「正社員であっても自由に働ける制度がありますよ」と伝えてわかってもらう。
ルールとして決まっている、といってしまうと何も変わらないので、僕が副業禁止の会社でタイムチケットを勝手に始めたように、既成事実をもって変えていくということもあるかと思います(笑)。
参加者
コアタイム有りのフレックスタイム制度を導入している会社に務めています。フレックスを利用すると上司から「帰るの早いぞ」と言われたり、遠回しに「◯時までは働け」と言われたりすることがあります。その意識改革を上層部からしてもらうには、どうすればいいでしょうか?
加来さん
これも結局は既成事実という結論にはなってしまいますが(笑)。フレックス、副業、リモートワーク。これは全部手段なんですよね。じゃあ何のために早く帰るのか、何のために副業するのか。
それがわからないと、言われなくても自ら活用できる一握りの人しか制度を利用しない。
だから会社としては、制度をつくる際にその目的を伝えてあげればいいと思うんです。
本業に活きるスキルが身につくとか、お金にも余裕がでるとか。あるいはその制度を利用して、成功している人に話してもらう。
むしろそういう社員が増えないと、会社としてポジショニングが取れない時代になっているので、僕は副業しなさいというルールにした方がいいとすら思っています。
参加者
様々な雇用形態の人が集まって取り組むと、コミットメントの割合が高い人と低い人がいて、チームがうまく稼働しなかった経験があります。それはどうマネジメントされているんですか?
加来さん
それはまさに日々、壁にぶつかっているところです(笑)。ただ、コミットメントの低い人をマネジメントし始めると、それは従来と変わりません。なるべくマネジメントはやらないようにしながら、色んな要因でコミットメントをあげていくしかないと思っています。
現在はまだ毒味段階なので、うまく行かなくて自分に仕事が降りかかってくるみたいなことは毎日のように経験しています。
それでも色んなヒト・モノ・カネを提供していけば、チームへの心理的な依存度の高まり、コミットメントの高い人だけが集まってくれるのではないかと思っています。

セミナー後には交流会が行われました!

ビビビセミナーVol.2では、前回と異なり、セミナー後に名刺交換&交流会が行われました。
登壇者である加来さんとの交流はもちろん、同じテーマに興味を持った参加者の方同士や、開催者であるビビビットの運営メンバーと参加者の方との交流も。
セミナーをきっかけに、新たなビジネスや人間関係が生まれる機会となりました。

完成したグラレコはこちら!

セミナー中、グラフィックレコーディング(グラレコ)を行ってくれたのは、学生団体innovation team dotに所属するおふたり。
同時並行とは思えない、素敵な作品を仕上げてくれました!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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